番外編(川島雄三作品) NEW2016.2.17
『真実一路』 川島雄三監督
1954 松竹大船

山本有三原作の文芸映画『真実一路』。
川島演出はオーソドックスで品格さえ感じる。
中でも斬新な演出なのが、二人の人物のモノローグを交互につないだ回想シーンの展開だ。
しず子(桂木洋子)が、父親・義平(山村聰)の実の娘でないことを叔父・素香(多々良純)から聞かされるシーン。
その後に、桂木の母で、多々良の姉であるむつ子(淡島千景)の回想に移り、その展開が交互に繰り返される。
成瀬映画『妻として女として』にもある(高峰秀子、淡島千景)二人の人物による交互の回想シーンという斬新な手法。


多々良が桂木に出生の秘密を語る「湯島天神境内」
このロケ地特定の決め手は、桂木の後ろに映っている高い建物が撮影当時の上野松坂屋の形状と一緒である点。
窓の形が同じだとわかる。
写真はロケ地の境内の横・男坂の上から見た上野御徒町方向の眺望。
写真中央に現在の上野松坂屋の「ya」の字が見える。






同じく「湯島神社境内」。
写真右の建物は撮影当時は無かったと思われる。
柵の直角の曲線の形は変っていない。これも特定の決め手となった。




上野公園内の「上野東照宮」に続く道。銅灯籠と五重塔。




二人が階段を降りてくる本郷菊坂近くの「炭団坂(たどんざか)」。
手すりなど多少の形状が変わったが、現在も風情のある坂。
坂の手前が、成瀬映画『晩菊』の舞台となる本郷・菊坂。




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